映画 CLIMAX/ギャスパー・ノエ の感想
Inland Empire振りにパンフレットを買った。パンフレットの表紙が部屋にあるだけでテンション上がるっていいよな。めちゃかっこいい
ラストの溶ける映像の美しさ、これだけでこの映画を見る価値がある。このシーンを見せるためにこの映画は存在したのじゃないかと。CLIMAXというのがどこを指すのか、狂気のCLIMAXでもあるだろうけど、僕は今からアシッドが効いてくるタイミングの溶けていくシーンがCLIMAXだと思う。
飯塚幸三が伊藤英明達を錬成する。飯塚幸三(結局誰かはわからなかった)的なやつが無防備な集団にLSDを打ち込む。準備もできてないし人間も出てきてないやつらは、伊藤英明のようにコンビニに駆け込み、「おかあさーん!」とできればまだマシだったが、吹雪の中隔離された空間でそれもできず。
とにかくダンスがめっちゃかっこいい、クランプダンスとヴォーグダンスがしたくなる。めちゃくちゃ気持ちいいだろうな。クランプダンスは音楽で言えばハードコアパンク的な?フィジカルに全部をぶつける。そこには陶酔はなさそうで、ひたすらな発散。ヴォーグダンスはなんなんだろうなあれ。フェミニンすぎるきらいがあるので異性愛者の男には少しハードルが高いが、それでもあの優美さと、腕のみをメインで使うという限定性に強く惹かれる。昔ある友人が、おもしろいやつは両手だけでも面白いことできると言っていて、まさにそうだなあと。マスキュリンなヴォーグダンスは可能?それはボディビル大会のようになるのか。
ドラッグ、危険ダメ絶対!の啓蒙映画になるな。パンフレットにも書いてたけど18禁だし強制して見せるものではないけど、推薦くらいはしてもいい。妊婦はまず見ないほうがいいだろう。
酒と煙草は瞬間的な危なさは他のドラッグに比べたらマシだが、長期に渡ってほどよく人を蝕む力がある。
現状は酒は水分として摂取しているが、これが濃縮とか錠剤、Vapeになったら危険度増すんだろうな。
MDMAとかは治療にも使われたりできるというが、医療用までだな。錠剤数粒で死ぬ薬とか怖すぎるだろ。
地獄では日頃の思考と習慣が明暗を分けるというのがよくわかった。日頃の行いを改めましょう。
家のテレビで観たら全然違う映画になるだろうな。没入度が減ると笑ってしまう回数が増えそう。
タイラーの妹ガゼルの、全体から漂うタイラーザクリエーター感。
宗教、民俗学的に見ると、ハレの儀式にはシッターや長老的な存在が必要だな。
長い歴史の中でお祭りが儀式として成り立っていった理由がよく分かる。
スピリチュアル的にも、精神変容の物質を摂取するにも、指針がないと危ない。
大きな力には大きな責任が伴う。
意外だったのは、Enter The Voidであったような幻覚の描写がまったくなかったこと。ドラッグを摂取した人を客観的に見る映画ので、果たしてこの映画がドラッグムービーかどうかと言われるとわからないな。
前作のLOVE 3Dではアワヤスカが登場していたと読んで、当時は全く気づかなかったので映画をスキップしながら該当のシーンを探すと確かにあったが、特別な描写もなくて、なぜその描写を入れたのかがわからなかった。全編通してちゃんと観てみれば前後関係がわかるのかな。
この映画はダンスシーンとラストの画面が溶けるシーン(そこからつながるシークエンスとしてのオープニング)、この2つが圧倒的に印象的だった。
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細々とした感想が多かったのでTwitter連投はうっとうしいからメモ書きして、ちょこっとだけ膨らませてみた。この書き方は嫌いじゃないな。
関係ないが今久々にメシアンのオルガン曲集を聴いているが、まじでこいつは何をしたいのかわからん。
大体なんか不穏な空気感で怖いし。